「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」の違いを知りたい!

「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」は、何が違うの?

「伝統工芸品」という言葉は、聞き馴染みがありますが、「伝統的工芸品」は、知らないという方も多いのではないでしょうか。

「伝統的工芸品」と「伝統工芸品」。

“的”の1文字があるかないかの違いで、どんな違いがあるのか。Takumi Japan広報隊長ウエムラが、ご説明させていただきます。

「伝統工芸品」とは?

伝統工芸品とは、伝統的な技術・技法によって、主に職人、匠による手工業で作られる、日常生活に使われるもののこと。

各都道府県で指定されているものだけでも、1300品目を優に超えます。

たとえば、NHKの朝ドラ「舞い上がれ」の舞台になった長崎県五島列島で、舞ちゃんが魅了された凧「五島ばらもん(凧)」も、長崎県指定の伝統工芸品のひとつです。

指定に統一の定義はなく、各自治体がそれぞれの定義で指定しています。

そのほかに、市区町村指定の工芸品や、指定はなくとも、地域に伝わる工芸品もあり、日本には、古くから受け継がれてきた数多くの伝統工芸品があるのです。

そんな伝統工芸品の中から、私が気になったものを3つ選んでご紹介します。

伝統工芸品紹介①猫ちぐら(新潟県、長野県)

猫ちぐら(猫つぐら)の「ちぐら(稚座)」とは、新潟の方言で籠のこと。猫ちぐらは、猫の寝床。いわゆるキャットハウスです。猫好さんなら、ご存じかもしれません。

猫ちぐらはキャットハウス
猫ちぐら(新潟県、長野県)

稲わらを編んで作る猫ちぐらは、保温性、保湿性、通気性が高く、1年中、猫が快適に過ごせるスグレものなのです。

ふるさと納税の返礼品にもなっていて、寄附金額も80,000円くらい~と、キャットハウスとしては高価ですが、技術をもった職人さんが1つの猫ちぐらを作るのに1週間ほどかかるそうなので、納得ですね。

伝統工芸品紹介②高崎だるま(群馬県)

全国のだるま生産の約80%を占める高崎だるま。農閑期である冬の気候、とりわけ“からっ風”が、だるま作りに適していたことから、副業として盛んになりました。

選挙でも活躍!高崎だるま
高崎だるま(群馬県)

眉毛に、鼻から口髭にと、縁起の良い2種類の動物を表現していて、福だるま、縁起だるまなどとも呼ばれています。

左目を出馬時に、右目を当選時に入れる選挙用のだるまも、ほとんどがこの高崎だるまなのだそうです。

伝統工芸品紹介③琉球ガラス(沖縄県)

沖縄のイメージを彷彿とさせる美しい色合いと気泡が特徴の琉球ガラス。その始まりは、明治時代の中頃と言われています。

気泡が美しい琉球ガラス
琉球ガラス(沖縄県)

戦後、材料となるガラスが不足する中、アメリカの進駐軍が捨てた空き瓶を再利用して作ったところ、不純物などの影響で気泡が発生。

本来なら不良品とされるところ、これが個性、味わいとして評価されるようになり、今では沖縄の人気の土産物となっています。

「伝統的工芸品」とは?

伝統的工芸品とは、100年以上の歴史をもち、「製造過程の主要部分が手作りである」、「伝統的技術または技法によって製造されている」、「伝統的に使用されてきた原材料である」などの条件を満たし、経済産業大臣の指定を受けた工芸品のこと。

2022年11月16日現在で、240品目が指定されています。伝統工芸品に比べると、だいぶ少ないですね。

伝統的工芸品は、数ある伝統工芸品の中でも、国の厳しい基準をクリアした選ばれしもの、と言えるかもしれません。

業種 品目数 業種 品目数
織物  38 和紙 9
染色品  13 文具 10
その他繊維製品 5 石工品 4
陶磁器 32 貴石細工 2
漆器 23 人形・こけし 10
木工品・竹工品 33 その他の工芸品 22
金工品 16 工芸材料・工芸用具 3
仏壇・仏具 17

 

Takumi Japanでは、多くの伝統的工芸品をお取扱いしているので、その中から、いくつか選んでご紹介します。

伝統的工芸品紹介①山形鋳物(山形県)

山形鋳物は、職人による独特な鋳型作りや模様押しなどの丁寧な仕事により、重厚ながら肉薄で繊細。美しい肌合いが特徴的です。茶道で使われている茶釜の多くは、この山形鋳物です。

山形鋳物の鉄瓶
鉄瓶 富士桜 1.5L鉄瓶 なつめ 小 1.0L山形鋳物

鉄瓶と言えば、重いのが当たり前ですが、肉薄な山形鋳物は、大きさの割に軽いものが多いようです。やはり軽い方が扱いは楽なので、とくに女性にとってはありがたいですよね。

平安時代の中頃には始まっていたという山形の鋳物作り。仏具や日用品に始まり、茶の湯窯や鉄瓶、そして現在では建築部材や機械部品なども作られています。

伝統的工芸品紹介②九谷焼(石川県)

色絵磁器として有名な九谷焼。「五彩」と呼ばれる5色の絵具を使って描かれる色鮮やかな装飾は、九谷焼の象徴的なスタイルです。

九谷焼の香合と花瓶
扇面香合 手描き吹墨釉彩壺 蓮に翡翠九谷焼

色使いが豊かで、心が明るくなりますね。

最近は、羽田空港や八重洲地下街などに設置されている「九谷焼ガッチャン」という自動販売機で、職人が手作りした九谷焼の小物をお手軽な価格で買うこともできるようです。行かれたら、ぜひ探してみてください。

伝統的工芸品紹介③別府竹細工(大分県)

竹は固く、弾力に富み、縦に割れる性質を持つことから、加工して材料となる竹ひごを作ったり、編んで細工物を作ったりするのに適しています。

別府竹細工の花籠とバッグ
炎 花籠山路バッグ 赤別府竹細工

乾湿にも強く、台所用品を始めとする日用品や花籠のほか、茶道具、農具や漁具などが作られてきました。

大分県は、日本唯一の竹工芸専門学校、竹工芸訓練センターを設立し、後継者の育成に力を注いでいます。

国内外の人々から愛される、日本の伝統工芸品

「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」の違い、おわかりいただけましたでしょうか?

いずれにしても、どちらも末永く受け継がれていってほしいものであることに違いはありません。

Takumi Japan では、先人の知恵や思い、技術が詰まったもの、職人の丁寧な手仕事によって生み出されるものたちの魅力を、日本のみならず、世界へと発信しています。

ぜひ、Takumi Japan のサイトで、銘品の数々をご覧になってみてくださいね。

▼Takumi Japan公式サイト
https://japantakumi.com/

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