茶碗、カップ、皿、急須、花瓶etc.日々の暮らしに欠かせない陶磁器
茶碗、カップ、皿、急須、花瓶etc.
見ない日、使わない日なんてない!といっても過言ではないほど、陶磁器は、私たちの日常の暮らしに欠かせないものとなっています。
今は大量生産の技術も進み、手頃な価格で質のよい陶磁器も簡単に手に入りますが、伝統の技を使い、職人たちの手によって、ひとつひとつ時間をかけて丁寧に作られているものも、もちろんあります。
今回は、伝統的工芸品の指定を受けている陶磁器にフォーカスしながら、陶器と磁器の違いを、Takumi Japan広報隊長ウエムラがご説明いたします。
「陶器」と「磁器」の違いと産地
陶磁器とは、やきもののうち、粘りのある土・陶土を主原料にした「陶器」(通称:つちもの)と、石を粉砕した粉・陶石を主原料にした「磁器」(通称:いしもの)の総称です。
たとえば、益子焼や唐津焼は陶器、そして有田焼や九谷焼は磁器に分類されます。
陶器と磁器は、原材料の他にも、焼成温度に違いがあり、仕上がりの特徴も異なります。
陶器は厚みと重さがあって透明感がなく軟硬質、素朴な風合い。磁器は薄くて軽く透明感があって硬質、洗練された印象です。
下の写真は、Takumi Japanでお取扱いしている作品で、左が陶器、右が磁器です。雰囲気や質感が、まったく違うのがおわかりいただけますよね。
◆陶器と磁器の比較
陶器 | 磁器 | |
原料 |
陶土 |
陶石
(長石や珪石が主成分)
|
焼成温度 | 1200℃前後 | 1300℃前後 |
厚さ | 厚手 | 薄手 |
透明感 |
なし (光に透けず) |
あり (光に透ける) |
印象 |
素朴、温かみ ざらつき |
繊細、つや なめらか |
性質 |
吸水性あり |
吸水性なし 割れにくい |
主原料は陶土ですが、陶器と磁器の間くらいの温度で焼く信楽焼、備前焼、常滑焼などは両者の中間的な特徴を持っていて、「炻器(せっき)、半磁器、焼き締め」と呼ばれることもあります。
下の写真は、Takumi Japanでお取扱いしている炻器の作品です。笠間焼や有田焼とは、また違った印象がありますよね。
左:14号 朱泥筋引六歌仙 木箱付(玲光)/常滑焼
右:麦酒杯揃 木箱入 ペア(五郎辺衛窯)/備前焼
瀬戸焼や会津本郷焼のように、陶器と磁器の両方を作っている産地もあります。
瀬戸焼は、愛知県の瀬戸地域(瀬戸市とその周辺)で作られる陶磁器の総称です。
瀬戸地域では、古くから多種多様なやきものが作られていて、そのうち、伝統的工芸品に指定されている「赤津焼」は陶器、「瀬戸染付焼」は磁器です。
日本の陶磁器の発祥と伝統的工芸品
日本で現在の陶器のようなものが作られるようになったのは、5世紀ごろのこと。朝鮮からろくろや窯を使ったやきもの作りが伝わり、釉薬の使用や茶の湯文化の流行に伴って発展していきました。
一方、磁器が作られるようになったのは江戸時代(1603年~)に入ってから。陶器に比べると、歴史はまだ浅いのです。
ちなみに炻器の誕生は、陶器と磁器の間です。
「陶磁器」は、2022年11月現在、経済産業省によって32品目が伝統的工芸品として指定されています。指定を受けるためには、「伝統的に使用されてきた原材料である」など、5つの条件を満たす必要があります。
伝統的工芸品については、こちらの記事で紹介しているので、もう少し詳しく知りたい方はご覧ください▼
2022年11月現在、伝統的工芸品に指定されている陶磁器は、以下の通りです。
◆伝統的工芸品に指定されている陶磁器
福島県 | 大堀相馬焼/会津本郷焼 |
茨城県 | 笠間焼 |
栃木県 | 益子焼 |
岐阜県 | 美濃焼 |
愛知県 | 常滑焼/赤津焼/瀬戸染付焼/三州鬼瓦工芸品 |
三重県 | 四日市萬古焼/伊賀焼 |
福井県 | 越前焼 |
石川県 | 九谷焼 |
滋賀県 | 信楽焼 |
京都府 | 京焼・清水焼 |
兵庫県 | 丹波立杭焼/出石焼 |
岡山県 | 前備焼 |
島根県 | 石見焼 |
山口県 | 萩焼 |
徳島県 | 大谷焼 |
愛媛県 | 砥部焼 |
福岡県 | 小石原焼/上野焼 |
長崎県 | 三川内焼/波佐見焼 |
佐賀県 | 伊万里・有田焼/唐津焼 |
熊本県 | 小代焼/天草陶磁器 |
鹿児島県 | 薩摩焼 |
沖縄県 | 壺屋焼 |
現時点で、最も多いのは愛知県。最北端は福島県の「大堀相馬焼」、最南端が沖縄県の「壺屋焼」ということになりますね。
Takumi Japanでは、2023年10月現在、約1/3の品目をお取扱いしています。
「伝統的工芸品」に指定されていなくても、伝統を継承して作られている陶磁器は、秋田県の「楢岡焼」や高知県の「内野原焼」など、上記以外にも日本各地にたくさんあります。
陶磁器で日々の暮らしを豊かに
陶器と磁器には、それぞれ違った特徴や魅力があります。
好みはもちろんのこと、他の持ち物や用途、シーンに調和するものを選ぶことで、日々の暮らしがより楽しく、豊かになることは間違いありません。
中でも、伝統を受け継ぎ、作家の思いと技術を結集して作られる伝統工芸品の陶磁器はイチオシ!
産地での陶磁器市や、百貨店、ギャラリーでの展示販売会なども各地で催されています。陶磁器好きの方は、ぜひ情報をチェックして、おでかけくださいね。
お気に入りの作家さんとも会えるかもしれませんよ!
▼Takumi Japan公式サイト
https://japantakumi.com/