日本の伝統文様とは?
日本には、古くから親しまれている柄、伝統文様(伝統模様)がたくさんあり、衣類や調度品など、さまざまなものに用いられてきました。
もともとは、飛鳥時代~奈良時代に中国から伝わった文化の影響を受けたものでしたが、やがて日本独自の解釈やデザインが生まれ、その種類も豊富になっていきました。
身近な動植物や縁起がよいとされるモチーフから生み出された文様には、健康や繁栄などへの願いが込められています。
そんな文様をあしらったモノたちは、昔の人々の日々の暮らしに、さぞかし安心や楽しみをもたらしてくれたことでしょう。
今も色褪せることなく、私たちの暮らしを彩る日本の伝統文様を、Takumi Japan広報隊長ウエムラが、少しずつご紹介してまいります。
第4回目は「麻の葉文様」です。
「麻の葉文様」ってどんな文様?どうして縁起がいいの?
麻の葉文様とは、正六角形をベースに、6つのひし形を均等に割り付けた柄。麻の葉の形に似ていることから、このように呼ばれるようになりました。
これを前後左右に繋いで連続文様にしたものが、着物や帯などの柄として使われてきました。
下は、江戸時代の八百屋の娘を描いた『八百屋お七』の浮世絵です。
小さな点で描いたものは、麻の葉文様のバリエーションのひとつ「麻の葉鹿の子」です。麻の葉文様は江戸の女子の間で流行したのですが、とくにこの「麻の葉鹿の子」は、女子に大人気だったそうです。
麻の葉はとても丈夫で成長が早く、まっすぐに伸びていく植物です。
そのため、麻の葉文様はわが子の健やかな成長を願う柄として、子どもの産着や着物などにも用いられるようになったのです。
麻の葉文様をあしらった工芸品
日本の伝統工芸品にも、この文様はしばしば使われています。ご参考までに、Takumi Japanでお取扱いしている作品をご紹介します。
「45間 短地 伊勢型紙模様 麻の葉」京扇子
「秘密箱 10回 赤麻 5寸」 箱根寄木細工
「八角 蓋付菓子器 小寄木」 箱根寄木細工
こちらも箱根寄木細工ですが、さまざまな文様を斜めに区切った「小寄木」と呼ばれるデザインです。この作品では2種類の麻の葉文様がありますね。
子どもの健やかな成長を願って、麻の葉文様を選ぶ
麻の葉文様は、よく見ると三角形の集合体でもあります。三角形は魔除けの意味を持つことから、麻の葉文様も魔除けの力があると考えられてきました。
よからぬものからわが子を守り、健やかな成長を願い、縁起物にあやかる。今も昔も、子を思う親の気持ちは一緒ですね。
わが子にはもちろん、親戚や近しい方のお子様の誕生祝いなどに、麻の葉文様のアイテムを選んでみてはいかがでしょうか。
最後に余談ですが、世界中で人気の漫画『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎の妹、禰豆子の着物の柄は麻の葉文様でした。作者は、この文様に何かしらの思いを託したのでしょうか。ちょっと気になりますね。
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