日本の伝統文様とは?
日本には、古くから親しまれている柄、伝統文様(伝統模様)がたくさんあり、衣類や調度品など、さまざまなものに用いられてきました。
もともとは、飛鳥時代~奈良時代に中国から伝わった文化の影響を受けたものでしたが、やがて日本独自の解釈やデザインが生まれ、その種類も豊富になっていきました。
身近な動植物や縁起がよいとされるモチーフから生み出された文様には、健康や繁栄などへの願いが込められています。
そんな文様をあしらったモノたちは、昔の人々の日々の暮らしに、さぞかし安心や楽しみをもたらしてくれたことでしょう。
今も色褪せることなく、私たちの暮らしを彩る日本の伝統文様を、Takumi Japan広報隊長ウエムラが、少しずつご紹介してまいります。
第3回目は「市松文様」です。
市松文様ってどんな文様?どうして縁起がいいの?
市松文様とは、二色の四角を交互に並べた格子状の文様です。
この文様は、埼玉県で出土した古墳時代(3世紀中ば~7世紀末頃)の埴輪の服装にも見られ、古来から親しまれてきたことがわかります。
市松という呼び名は、歌舞伎役者の初代佐野川市松に由来します。
それまでは「霰(あられ)」や、神社の石畳の模様であったことから「石畳(いしだたみ)」などと呼ばれていました。
歌舞伎が庶民の娯楽として花開いた江戸時代、『高野心中』を演じて人気者となった佐野川市松が、白と藍の正方形を交互に配した袴を身に着けていたことから、次第に市松文様と呼ばれるようになったのです。
上下左右に途切れることなく続いていく様から、市松文様には永遠や繁栄、発展の意味が込められています。
東京2020の五輪・パラリンピックで採用されたエンブレムのデザインは、この市松文をアレンジしたものでした。
みなさん、覚えていますか?忘れてしまった方は、こちらで確認してみてください。
▼東京2020ブランド
https://olympics.com/ja/olympic-games/tokyo-2020/logo-design
デザインはもちろん素敵ですが、その意味を考えると、市松文様をモチーフにしたデザイナーのアイデア、素晴らしいですね。
市松文様をあしらった工芸品
日本の伝統工芸品にも、この文様はしばしば使われています。ご参考までに、Takumi Japanでお取扱いしている作品をご紹介します。
「テレイド形万華鏡 市松文様 手描き 赤」 九谷美陶園
「丸茶盆 市松 中」 樺細工
「市松紋ぐい飲み」 泉健一郎 東京銀器
2種類の金鎚で、シルバーをマットな四角とツヤのある四角に打ち分け、コントラストの利いた市松文様を表現しています。高い技術を必要とする作品です。
市松文様に商売繁盛の願いを託す
永遠や繁栄、発展の意味をもつ市松文様は、昔から子孫繁栄や商売繁盛などを願って取り入れることが多かったようです。
事業をされている方、オフィスに市松文様のアイテムを飾ったり、使ったり、身に着けたりして、縁起を担いでみてはいかがでしょうか。
余談ですが、世界中で人気の漫画『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎の着物の柄も市松文様ですよね。「炭治郎と市松文様」については、エピソードがあるようなので、気になる方は調べてみてくださいね。
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