およそ1200年前、鈴鹿の山の肥松(こえまつ)を燃やしてとった煤に膠を加えて墨を作ったのが、鈴鹿墨の始まりとされている。江戸時代になると、大名の家紋書き、礼服の墨染、寺子屋の発展とともに上質な墨の需要が増し、鈴鹿の墨作りも盛んになっていった。●1980年伝統的工芸品指定
煤とりには、菜種油をはじめ、胡麻油、綿実油などさまざまな原料が用いられ、個性あふれる墨作りを支えている。
現在は、わずか一軒、親子2人の職人のみが伝統的な製法を守り、鈴鹿墨作りを行っている。発墨がよくなめらかで、基線(筆が通った部分)とにじみ部分の調和が絶妙な鈴鹿墨は、多くの書道家に愛されている。また色墨や塗料の開発、食とのコラボレーションなどにより、染色家や建築家、画家、料理人からも支持を得ている。
WORKS
26,400円(税込)